変わり玉記録帳

日記・文章を載せる場所。個人文章道場も兼ねる。脳みそ断片保管庫宇宙本部。

私と数学

とにかくできない。

 


一家揃ってできない。

 


分数の割り算の仕組みが分からないまま20ウン年。

 


なぜ小数に小数をかけたら値が小さくなるのかを考え続けて20ウン年。

 


バイト先で値引き計算ができなくて笑ってごまかしたこと数しれず。

 


小中高時代からお友達でいてくれたみなさんはご存知だと思うが、私は致命的に数学と理科ができない。

「お腹の中に置いてきた」という表現があるけれど、妹もできなければ母もできないので、多分数学の素養はなかったのだと思う。

 


それでも受験というものはやってくるので、中3まではなんとかなった。いや、なんとかした。

中3頃から死に物狂いでやって、都立入試(共通問題)ではほぼ9割を取れていた。快挙。

 


そこで調子に乗り、(あれ、私数学いけるんじゃね?)と思うも高1にして爆死。

先生がなにを言っているかわからない。たすき掛けられない。

当てられたらとりあえず「2x」と言って難を逃れるクソ野郎に成り下がってしまった。

 


高校は、なんとか頑張ってる姿勢を見せれば進級させてくれる義務教育の世界ではない。

進級したくば自分で点を取りに行かなければならない。

 


テスト週間、部活がなくなると毎日毎日学校に残って数学の勉強をした。むしろ数学と理科以外は捨てていた。一夜漬けでどうにかする算段だった。

 


とにかく一日5時間以上を数学に費やした。

 


返ってきた答案用紙には13点と書いてあった。

 


もうここまでくるとセンスがないんです、という言い訳しかできない。

 


他の科目はほとんど勉強していないので、平均点~赤点すれすれをキープしていたが、数学だけはどんなに頑張っても30点を超えない。

 


真面目に受けた学外模試は0点だった。

 


補習の常連だった。

 


補習が嫌で先生から走って逃げた。

 


捕まって強制連行された。

 


このままでは進級が危ういです、と一学期の時点で通告される悲しみ。

 


私が如何に理数科目が苦手かわかってもらえただろうか。

好きで苦手になったんじゃない。ちゃんとテスト前も勉強したし、逃げたけど補習にも出た。

授業中は寝てたけど。

 


さあ、いよいよ進級を意識せざるを得ない学年末テスト。

 


中間テストの時点で、親も焦って塾の無料体験学習にぶち込み、そこで補強され化学は進級確定点数を確保。やればできる。

ていうか塾の利用法がセコい。

 


そして立ちはだかる数学。化学を倒したいま、お前に存分にぶつかることができる。

 


私は数を扱うことが苦手だ。文章題より四則演算で失点するタイプである。

計算しているうちに、いま自分がなんのために、なんの数値を求めているのか訳が分からなくなってしまうのだ。

 


奇跡的に最後のテストは難しい計算のない範囲だった。確率とか命題とか集合とかその辺。なにをなんのために弄っているのかわかりやすい範囲。

 


ここで取るしかない。

だって計算が簡単だから。読めばどうにかなる系だから。

 


めっちゃ勉強した。2年生になりたかった。

 


答案が返ってくる日、教科担当が尋ねる。

「何点くらい取れたと思う?」

「60……いや、50くらいすかね」

 


返ってきたテストには赤い60の文字と、頑張った、という一言。狂喜乱舞。

なにせ平均点を超えていたのだから、1点だけだけど。

 


そこからは特に数学の記憶はない。

Σをテスト前日まで逆に書いていたことくらいしか思い出はない。

 


そんなんだから通知表は体育だけ10、他はよくて6か7、理数科目は3か2だった。

よく卒業したと思う。

 


とまあ、そんな話をしていたら。

「数学ⅡBは100点だったから、他が悪くても目くらましになってたなあ~」

 


え、あなたバリバリのトップ進学校にいましたよね????

いまなんとおっしゃいました????

 


地球外生命体が現れた。

 


授業を抜けて遊んでいたのに、年間欠席コマ数が120もあるのに(理数科目はきちんとでていたようだが)、評定5。

化け物かよ。

 


他の出席していなかった科目も、持ち前の頭脳と要領の良さで3~4は取っていたらしい。

 


もう私とは頭の作りが違う。

 


でかい括りでみたら同じ人間というカテゴリだけど、多分向こうは脳が発達しているタイプで、私は脳よりも筋肉が発達したタイプなんだと思う。

 


楽しんで学ぶことが多分に寄与したことはあるだろうけど、そりゃないぜ。

謙遜してるだけで、ちゃんとやってそれなりに時間を割いたのかもしれないけどそりゃないぜ。

 


こっちは死ぬ気でやったのに、やっぱり数学ⅡBダブルで赤点取って、部活一日停止にしてしまったぜ、キャプテンだったのに。

 


そんなこんなで私の数学コンプレックスはもう解消できないところまできてしまっている。

 


というかもはやアイデンティティのひとつになってしまった。

 


幹事をやってもお金の計算は絶対に自分ではやらない。

 


電卓、Excel、この世に生まれてきてくれてありがとう。

 


そろばんはうっかり引っ掛けてぐじゃぐじゃになるのでだめだ。

 


就活のSPI、勉強してどうにかなった人は実はできる人。

私はノートを何冊も使い、地球外生命体に「ニホンゴ」を使って教えてもらってもダメだった。

筆記試験のある企業にはどこにも受けいれてもらえなかった。

 

そこからいままで、数学と呼ばれるものには一切触れていない。 


ここまで散々書いたけれど、実はババアになったらまたちょっとやってみたいと思っている、算数・数学。

 


逆を言えばそれまではやらない。

 


またな、よくわからない記号や公式たちよ、大学で言語学をやったときにはじめてお前らの重要性を知ったぜ。

 


元気でいろよ、私が時間を持て余すババアになるその日まで。