変わり玉記録帳

日記・文章を載せる場所。個人文章道場も兼ねる。脳みそ断片保管庫宇宙本部。

「ひきつけられる」手 書き書き秘話

これも本当の話。

鍵盤の上を踊る手、弦を爪弾く手、料理を作る手、などなどは、あふれ出る感情やらなんやらに基づいて動いているはずなのに、一見その素振りを見せていないように、私は、感じる。心を込めているはずなのに、何故。わからない。

 

でも、機械的とも言えるまでに手にしみ込んだ動作を得る過程や、ちょっとした動きの癖から、その人の、人となりや心が見える気がする。ほんの少しだけど。目を見て話すのが少し苦手な私にとっては、「目は口程に物を言う」ならぬ、「手は口程に物を言う」、なのかもしれない。

 

その人の手や動作のリズムが安定していればしているほど、また、その人の効率に基づいている、とこちらが感じられれば感じられるほど、安心できる。しっちゃかめっちゃかだと不安になってしまう。規則正しい手を見るのが好きなのは、その人に対して安心を抱けるからなのかもしれない。

……みんなそうか。みんな自分の心の運びと営みを愛してやってね。変えたいのならば仕方ないけれど、基本のリズムが狂わないように気を付けてね。

 

もう抜本的に変えたい人は……。一回リセット期間、なのかな。私の浅い人生経験ではもうわからない。でも自分を愛せるようになることもかなり大きな変化なのかな、とも思う。

そういうときは煮物とかケーキとかおはぎを食べながら考えようよ。それしか、言えぬ。

 

今日の散歩で作文テーマを決めたけれども、うーん。600字って短い。

 

今日も近所の100均に行くはずが、袋を下げたまま真反対にある、通っていた小学校の方まで来ていた。そんなつもりはなかったのに、夕日が誘うからしょうがない、お散歩しよう。ジーパンにTシャツ、ひっつめ。日焼けが嫌だからカーディガン。口パクで歌う歌はやさしかった。

みすぼらしい身なりはあんまり気にならない。住み慣れるってこういうことか、いつか一人で暮らす町でもこんな風に我が物顔で振る舞えたら私の勝ちだな、と変な勝負を未来に挑んだ。

 

途中、水棲生物店に寄った。水槽が並んでいるせいか蒸し暑い。少し見て歩いていると、一匹の魚が腹を見せて浮いていた。これはよくない!と思い店主に伝えると、面倒くさそうに「あー、そういうのは時間決めて回収してるから。」と返ってきた。「すみません」と言い視線を落とすと、エサ用の芋虫たちが、ケースいっぱいにうねうねしていた。その横にはコオロギがたくさん。窒息させてしまうから蓋などされていない。ギョッとして店を飛び出た。

 

何となく体をはたく行為と、リフレインする「回収してるから」というセリフとおじさんの顔。

 

ウォークマンのボリュームを上げて、また口を動かす。さっきより早足になる。