変わり玉記録帳

日記・文章を載せる場所。個人文章道場も兼ねる。脳みそ断片保管庫宇宙本部。

「私」をうつすもの 書き書き秘話 その1

 

前の記事でも書いた通り、こちらもとある企業様からの課題作文でしたが、前回は小説チックに、今回は小論文チックになりました。

 

冒頭の「古今和歌集仮名序」については、高校の古典の授業で扱ったときに思わず鳥肌が立ったことを今でもよく憶えています。私の場合は言葉の力を信仰しているというよりも、言葉がそれだけの力を持った世界であってほしい、と願っているといった方がより正しいです。ペンは剣よりも強し。話せばわかる。歴史に残る、言葉の力を信じた人たちは、そう言いました。

 

これだけ文明や科学が発達し、先進国として福祉・その他に課題はあるものの、大方の人は「最低限文化的な暮らし」をしている国、日本。極東の島国でしか使用されていない日本語は、どれだけの力を持って生み出されては、消えているんでしょう。また、自分の発する言葉に他人をねじ伏せるのではなくて、慈しむような力を持たせようとしている人はどれだけいるのかしら、と考えたらきりがなくなってしまいます。

 

さて、あの作文に出てきた本棚は実在します、しかも我が家に、いや、もしかしたらあなたの家にも、はす向かいのおじさんの家にも。

 

何を隠そう、私の母の本棚です。あぶあぶ、と喃語しか持たない私に、一刻も早く言葉を、と何でもかんでも必死に話しかけまくり不審者扱いされかけた私の母の本棚です。(ちなみに私が最初に獲得した単語は「てんき」でした。)

 

母がどれくらい読書好きかというと、寝る前・通勤時には必ず読み読み。休みの日には、家事をしているとき以外は絶対に片手に本を持っています。さながらライナスの毛布、お腰につけた黍団子。(ちょっと違うか)

 

しかし、私の身なりや言動から一目瞭然だと思いますが、うちは書斎なんてものはない、模範的小市民家庭です。己を「小さなことですぐ幸せになれる人」と謳う彼女は、読む本がなくなるとブックオフに行き、にこにこしながら帰ってきます。そして百貨店でお買い物を愉しんだ後のマダムの如き顔で、明日の通勤時に読む本を選ぶのです。

 

疲れたし、ちょっと長くなってきたので記事を分けてみます。